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1人1台端末の利用阻害要因の解明と期待効果の推計

課題

全生徒が1人1台端末(PC)を持ったことで教育のICT化が爆発的に加速すると予想されていたが、現実は思ったように利用が進まなかった。利用が進まない理由についても教員ごとに意見が異なり、「なぜ生徒たちが利用していないのか?」という点についてはブラックボックスのまま解明されていない状況であった。そこで某公立高校において授業評価アンケートの中で「生徒たちの生の声」を拾うことで、利用が進まない阻害要因の特定と解決方法、および効果見積もりを行うこととなった。

重視したポイント

生徒たちの名前の声を拾うことを主眼とした。

解決方法

  1. 生徒1人1人の声を正確に拾い上げるため、以下の3つを授業評価アンケートの中でヒアリングした。
    • 現在の利用方法についての満足度(0:不満足、1:満足)
    • 利用頻度についての満足度(0:少ない、1:ちょうどいい、2:多い)
    • 1人1台端末の利用についての意見(文字数制限なしの自由記述)
  2. 生徒たちにMicrosoft Formsで回答をさせた。Formsの回答データから未提出者を自動抽出し、担任経由で提出催促をかけることで約9割の回答を得た。自由記述の中には生徒たちが1人1台端末を利用しない理由(生の声)が赤裸々に語られていた。
  3. 「現在の利用方法の満足度」x「現在の利用頻度」をクロス集計し以下のイメージ(*数値は実際の集計結果と異なる)のようにまとめた。

    1人1台端末の利用満足度


  4. 約300人分の自由記述回答をすべて確認し不満内容を手動でカテゴリー分けし、上記の6セグメントごとに集計した(集計対象は下の3セグメント)
    1人1台端末の利用阻害要因分析
  5. 生徒たちの不満内容(=1人1台端末利用の阻害要因)の中から主要な3つの要因を抽出し、3つすべてが解決された場合には全校生徒の半数以上が「利用方法に満足」「利用頻度もちょうどいい」と回答することが推計された。(*皮算用による仮説)
    1人1台端末の利用が進まない原因と解決方法
  6. 上記の分析結果を教務主任およびICT委員の教員に共有し、該当校では以下の対応を現在も実施中である。
    • とにかくPCをもっと授業の中で使わせる(*愚直ではあるものの効果が大きいため)
    • PCならでは(スマホだと操作がしにくい)授業設計(*ClassNotebookの利用など)

一方で、3番目に生徒からの声が大きかった「全教科でのデジタル教科書の導入」については、教科書会社各社が「紙の教科書のみ」<「紙の教科書+デジタル教科書」というシリーズ展開をしているため、デジタル教科書の購入費は各家庭負担となってしまい(低所得家庭へ理解を求めることにハードルがあり)該当校では直接のアクションを行っていない。

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